創業者 近藤公康氏と銀線へのこだわり
現社長・芦澤雅基氏がオーディオ哲学を継承
<2006年1月8日、近藤公康氏はオーディオショウが開催されていた米国ラスヴェガスで逝去。その2年前には芦澤氏を社長に擁立し、自身は会長としてオーディオ・ノートの舵取りを行なっていた矢先のことである。
株式会社オーディオ・ノート最高経営責任者芦澤雅基(あしざわまさき)氏
1967年生まれ。神奈川県横浜市出身。幼少の頃から楽器に触るのが好きで、オルガン、エレクトーン、サックス、フルート、アコーディオンなどを練習する。中学時代には友人とバンドを組み、演奏活動にも勤しむ。そして、最初は家にあったコンパクトステレオでレコードを聴くようになるが、1本の針からどうして右と左で違う音が出るのかなど、技術寄りのことに興味を持ったという。またバンド活動をしていた関係で、エフェクターの自作もしたそうだ。音響技術専門学校電子音響科卒。ここで講師をしていた近藤公康氏(創業者)と出会い、同社でアルバイトをすることに。正式入社は1990年。2004年に社長に就任する。
開発設計とサウンドデザインを指揮する廣川嘉行氏
株式会社オーディオ・ノートサウンドディレクター/R&Dマネージャー廣川嘉行(ひろかわかつら)氏
1972年生まれ。佐賀県出身。中学3年生の頃に、兄が導入したオーディオシステム(アルテック604-8H、マランツ3300+510など)の生き生きしたサウンドに心を惹かれる。高校時代にはAR3a、アルパイン/ラックスマンLV105、マランツCD80という組合せでオーディオ再生を開始。その後上京し、偶然にも芦澤氏と同じ音響技術専門学校電子音響科に入学することに。卒業を前に、こだわった物づくりの姿勢に関心を抱き、オーディオ・ノート社に電話をして、近藤会長・芦澤氏と面談のうえ入社が決定したという(96年)。98年に一旦退社したが、2005年に再入社。旧製品をつぶさに研究し、その後の開発業務に活かしているそうだ。
オーディオ・ノートの代表的モデル
アナログプレーヤー GINGA
同社が誇る超弩級アナログプレーヤー「GINGA」(¥7,854,000/税込)は、アルミ、ステンレス、真鍮、砲金、クロム銅、アクリルの6種の素材を効果的に用いた本体ベース(28㎏)に、18㎏に及ぶプラッターを搭載していることが特徴だ。この重量級プラッターを受ける軸受部には、φ25㎜の極太センターポールと、その頂部に配した硬質ボールベアリング、さらに大型スピンドルローターを加えた、独自のハイポイント支持機構を採用。プラッターの駆動は結び目のない特殊糸による糸ドライブ方式で、4極シンクロナスモーターの電源回路にも独自のアイデアが注入されている。SME特注製Kondo V12トーンアームが付属する。
トップエンド・パワーアンプの「Kagura 2」では音楽に敬意を表した音の姿勢を追求
Brand New Product最新モデル
パワーアンプ Kagura 2
本機(¥15,620,000・ペア/税込)は、同社の持てる技術とノウハウをフルに投入して開発された、大型直熱3極管211によるパラレルシングル・モノーラルパワーアンプだ。2013年発売の前作Kaguraから7年が経過したが、さらなる音楽的表現力と機能性の向上が図られ、Kagura 2へと進化したという。その主な改良点は、まず新設計出力トランスの採用(4/8/16Ωの専用出力化、ボビン形状の変更による密着度の高い巻線構造を採用)。さらに、オリジナル真空管ソケットの全面採用やCRパーツ類の微調整などにより、完成度の向上が図られている。2020年《ステレオサウンドグランプリ》受賞製品でもある。
音決め時に使用するリファレンスデスク8選
コーリング・ユー/ホリー・コール・トリオ(CD、ブルーノート)
フットプリンツ/キャスパー・ヴィヨーム・トリオ(CD、マシュマロ・エクスポート)
ピアソラの芸術/アストル・ピアソラ(LP、Globe)
カンターテ・ドミノ(LP、プロプリウス)
ふたりの天使/ヒナマリア・イダルゴ(LP、Microfon)
ベラフォンテ・アット・カーネギー・ホール(LP、RCA)
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲ニ長調ほかヘンリック・シェリング、ハイティンク指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団(LP、フィリップス)
ウーマン・イン・レッドスティービー・ワンダー(LP、モータウン)
オーディオ・ノート AUDIO NOTE
世界で初めてオーディオ機器に純銀材を用いたオーディオ・ノート。世界最高の音楽再生を求めて開発・製造しています。
本記事の掲載号「ステレオサウンドNo.218」
ステレオサウンド No.218 2021年 SPRING
ステレオサウンドNo.218(2021年春号)は、オーディオ評論家の音の“聴き方”をテーマにした特集1をメインに、約10万円から30万円までのスピーカーシステム4ブランド8モデルを比較試聴した特集2、新連載「オーディオショップ探訪」など、いつもどおりの盛りだくさんの内容でお届けいたします。表紙を飾るスピーカーは、スウェーデン第二の都市、イェーテボリの近郊に本社を構えるMARTEN(マーテン)のParker Quintet Diamond Edition。前面と後面がわずかに傾斜したエンクロ...