アストラゼネカ株式会社本資料はアストラゼネカ英国本社が2021年9月17日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。第II相COAST試験において、イミフィンジとoleclumabまたはmonalizumabとの併用療法が病勢進行の遅延と客観的奏効率の向上を示す初の有効性データとなるPACIFIC-Rにより臨床現場におけるイミフィンジの長期有効性が裏付けられるアストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot])は、大規模無作為化臨床試験である第Ⅱ相COAST試験の良好な結果を発表しました。本試験では、化学放射線同時併用療法(CRT)後に増悪が認められなかった切除不能なステージIIIの非小細胞肺癌(NSCLC)患者さんにおいて、イミフィンジ(R)(一般名:デュルバルマブ[遺伝子組換え]、以下、イミフィンジ)単剤との比較で、抗CD73モノクローナル抗体のoleclumabあるいは抗NKG2Aモノクローナル抗体のmonalizumabとイミフィンジの併用療法が、無増悪生存期間(PFS)を延長し、客観的奏効率(ORR)を改善させました。追跡期間中央値11.5カ月後となる中間解析の成績から、CRT後のステージIIIのNSCLC患者さんを対象にイミフィンジ単剤療法との比較で、イミフィンジとoleclumabとの併用療法は病勢進行または死亡のリスクを56%(ハザード比[HR]は0.44;95%信頼区間[CI]は0.26-0.75)、monalizumabとの併用療法でも35%(HRは0.65;95%CIは0.49-0.85)低下させました。10カ月後の無増悪生存割合は、イミフィンジとoleclumabの併用で64.8%、イミフィンジとmonalizumabの併用で72.7%であったのに対し、イミフィンジ単剤では39.2%でした。さらに欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表された結果においても、主要評価項目である確定ORRは、イミフィンジ単剤療法に対してイミフィンジとoleclumabの併用療法で増加(単剤18% 対 併用30%)し、イミフィンジとmonalizumabの併用療法でも増加(単剤18% 対 併用36%)していました。NSCLC患者さんの4人に1人はステージIIIと診断され、腫瘍の大部分は切除不能(手術による除去ができない状態)です(1,2)。第Ⅲ相PACIFIC試験の結果に基づき、CRT後にイミフィンジを投与する治療は、これらの患者さんに対する世界的な標準治療となっています(3-5)。Yale Cancer Center、およびコネチカット州ニューヘブンのSmilow Cancer Hospital腫瘍内科主任でCOAST試験の運営委員会委員長のRoy S.Herbst医学博士は、次のように述べています。「イミフィンジは切除不能なステージIIIのNSCLC患者さんに対する確立された標準治療薬となっていますが、現在承認されている治療法では効果を得られない患者さんにとっては依然として解決策が必要です。安全性プロファイルとともに、イミフィンジとoleclumabあるいはmonalizumabとの併用療法から確認された顕著な改善は、この新しい併用療法がこれらの患者さんたちの転帰をさらに再定義できる可能性を示唆しています」。アストラゼネカのオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントであるSusan Galbraithは次のように述べています。「イミフィンジは切除不能なステージIIIのNSCLC患者さんの治療を変えてきました。今回、強力な臨床活性を示す2種類のファーストインクラス候補となり得るモノクローナル抗体との新たな併用療法により、イミフィンジの可能性をさらに追求できることを非常に嬉しく感じています。COAST試験の素晴らしい結果に基づき、新たな治療選択肢が患者さんの治癒の可能性をさらに高められることを期待して、登録試験を開始する予定です」。安全性は治療群間でほぼ同じであり、いずれのイミフィンジ併用療法についても新たな安全性シグナルは確認されませんでした。試験治療下で発現したグレード3以上の有害事象(TEAE;全原因)発現割合は、イミフィンジ単剤群で39.4%、イミフィンジとoleclumabの併用群で40.7%、イミフィンジとmonalizumabの併用群で27.9%でした。最も多かったグレード3/4のTEAEは呼吸困難でした(各治療群患者さんの3.0%、1.7%および1.6%で報告)。グレード3/4の非感染性肺炎は、イミフィンジとmonalizumabを投与した患者さん1例(1.6%)でのみ報告されました。欧州臨床腫瘍学会(ESMO)において、PACIFICリアルワールド観察研究 (PACIFIC-R)により臨床現場でのイミフィンジの効果を示すPACIFIC-R観察研究によるリアルワールドPFS(rwPFS)の解析計画のデータもESMO中に発表され、アストラゼネカのグローバルPACIFIC早期アクセスプログラムの一環として臨床現場でイミフィンジによる治療を受けた切除不能なステージIIIのNSCLC患者さん数千人以上から得られた初めての有効性データが示されました。この解析では、臨床現場でrwPFS中央値が21.7カ月であったことが示されました。対照的に、無作為化二重盲検プラセボ対照で実施された第Ⅲ相PACIFIC試験では、イミフィンジによる治療を受けた患者さんのPFS中央値は16.9カ月でした。この結果は、臨床現場の患者集団におけるイミフィンジの長期有効性を実証し、今日確立されている白金製剤ベースのCRT後の標準治療としてのPACIFICレジメンを補強するものです。イミフィンジは、切除不能なステージIIIのNSCLCにおけるCRT後の根治を目的とした治療薬として、米国、日本、中国、欧州諸国をはじめ、多くの国々で承認されており、2018年2月に初めて承認されて以降、この状況下でイミフィンジによる治療を受けた患者さんは80,000人を超えています。また、イミフィンジは、CASPIAN第Ⅲ相試験にもとづき、米国、日本、中国、欧州各国を含む55カ国以上で、エトポシドとカルボプラチンまたはシスプラチンのいずれかとの併用による進展型小細胞肺癌(ES-SCLC)のファーストライン治療薬としても承認されています。アストラゼネカは、イミフィンジにおいて治癒の可能性がある肺がんの早期ステージを含めた複数の第Ⅲ相試験(PACIFIC-2、4および5、MERMAID-1および2、AEGEAN、 ADJUVANT BR.31、ADRIATIC)を実施しています。また、早期ステージの術前補助療法を対象とした第Ⅱ相NeoCOAST試験において、イミフィンジと新薬候補との併用療法を検討しています。※oleclumab、monalizumabは本邦未承認です。以上*****ステージIIIのNSCLCについて2020年には、全世界で推定220万人が肺がんと診断されました(6)。肺がんはNSCLCと小細胞肺がん(SCLC)に大別され、肺がん患者さんの80~85%がNSCLCに分類されます(2,3,7)。ステージIIIのNSCLCはNSCLC全体のおよそ4分の1を占めます(1)。ステージIII(局所進行性)のNSCLCは、一般的に、局所的にどの程度がんが拡がっているかによって定義される3つのサブカテゴリー(IIIA、IIIBおよびIIIC)に分類されます。ステージIIIの病変は、がんが拡がっている(転移している)ステージIVの病変とは異なるため、ステージIIIの患者さんの大半は根治目的の治療を行います(2,8)。III期のNSCLC患者の大半は、切除不能な腫瘍と診断されます(1,2)。この状況でイミフィンジが承認される以前は、これらの患者さんにCRTを超える新たな治療法は何十年も利用できませんでした(3-5)。COAST試験についてCOAST試験は、CRT後に増悪が認められない局所進行性の切除不能なステージIIIのNSCLC患者さん189人を対象に、イミフィンジを単独で、あるいはoleclumab(抗CD73モノクローナル抗体)またはmonalizumab(抗NKG2Aモノクローナル抗体)と組み合わせて投与し、安全性と有効性を比較した無作為化他施設共同第Ⅱ相試験です。COAST試験は北米、欧州およびアジアの9カ国82施設で実施されました。主要評価項目は抗腫瘍活性の指標としてのORRで、副次的評価項目には、安全性、奏効期間、全生存期間、およびPFSが含まれます。PACIFIC-R試験についてPACIFIC-Real World(PACIFIC-R)試験は、2017年9月から2018年12月までの間に、早期アクセスプログラム(EAP)の一環としてイミフィンジによる治療を行った切除不能なステージIIIのNSCLC患者さん1,399人を対象とした国際的な観察研究です。患者さんのPACIFIC-R試験への登録は、参加国のEAP中止後に行われ、CRT後に増悪が見られない患者さんが試験開始時のPD-L1の状態に関わらず登録されました。イミフィンジについてイミフィンジ(デュルバルマブ [遺伝子組換え] )はヒトPD-L1に結合するヒトモノクローナル抗体であり、PD-L1に結合しPD-L1とその受容体であるPD-1およびCD80の相互作用を阻害することで、腫瘍の免疫逃避機構を抑制し抗腫瘍免疫反応を誘発します。イミフィンジは、切除不能なステージIIIのNSCLCおよびES-SCLCに対する承認に加え、前治療歴のある進行膀胱がん患者さんの治療薬としても複数の国々で承認されています。広範な開発プログラムの一環として、イミフィンジは、NSCLC、SCLC、膀胱がん、肝細胞がん、胆道がん(肝がんの一種)、食道がん、胃がん、子宮頸がん、卵巣がん、子宮内膜がん、その他の固形がんの治療として、単独療法ならびに併用療法においても検討されています。OleclumabについてOleclumabは、CD73に選択的に結合し、その活性を阻害する、ファーストインクラス候補の抗CD73モノクローナル抗体です。CD73は、腫瘍微小環境で過剰発現し、アデノシン受容体経路を介して抗腫瘍免疫を制限することにより腫瘍増殖を促進する細胞表面酵素です。前臨床研究では、CD73阻害が放射線療法、化学療法および免疫療法との併用において抗腫瘍活性を改善することが実証されています。Oleclumabは固形腫瘍の悪性腫瘍を対象とした様々な第Ⅱ相試験でも検討されています。Monalizumabは、ファーストインクラス候補の抗NKG2A抗体です。NKG2Aは腫瘍浸潤細胞傷害性T細胞およびナチュラルキラー細胞に発現するチェックポイント受容体で、その抗がん機能を阻害します。Monalizumabは、現在進行中の第Ⅲ相INTERLINK-1試験でも検討されており、治療歴のある再発性または転移性の頭頸部扁平上皮癌患者さんを対象に、monalizumabとセツキシマブの併用療法を評価しています。MonalizumabはInnate Pharma社と共同開発中の製剤であり、アストラゼネカは、2015年に開始した共同開発および商業化契約によって2018年10月にmonalizumabの完全な腫瘍領域における開発権利を取得しました。肺がん領域におけるアストラゼネカについてアストラゼネカは、疾患の早期発見と早期治療を通じて、肺がん患者さんを根治に導く治療を提供するとともに、治療耐性や病勢進行した状況においても効果が期待できる治療法を追求すべくサイエンスの限界に挑戦し続けていきます。また、新たな治療ターゲットを定義し、革新的なアプローチを研究することで、患者さんにとって最も高い治療効果が期待できる医薬品を特定し、提供していくことを目指しています。当社の包括的なポートフォリオには、革新的な肺がん治療薬であるタグリッソ(R)(オシメルチニブ)、イレッサ(R)(ゲフィチニブ)、免疫チェックポイント阻害剤であるイミフィンジ(デュルバルマブ)およびトレメリムマブや第一三共と共同開発を進めているエンハーツおよびdatopotamab deruxtecan、HUTCHMEDと共同開発を進めているサボリニチブなど、新薬候補となる開発品および多様な作用機序を組み合わせた開発パイプラインが含まれます。アストラゼネカはLung Ambition Alliance(LAA)の創設メンバーであり、LAAは、イノベーションを促進し、肺がん患者さんの治療を含め、治療を超えた人々に意味のある改善を提供するために取り組んでいます。アストラゼネカの免疫腫瘍学(IO)への取り組み免疫腫瘍学(IO)はヒトの免疫システムを刺激し腫瘍を破壊するよう設計された治療アプローチです。アストラゼネカにおけるIOポートフォリオは、抗腫瘍免疫抑制を克服するよう設計された免疫治療によって支えられています。当社は、がん種を問わず、より多くのがん患者さんの長期的な生存に貢献するべく、IOに基づく治療アプローチに投資をしています。また、イミフィンジの単剤療法およびトレメリムマブやその他新規抗体薬との併用療法に対しては、様々ながん種、病期、治療ラインにおいて、また必要に応じて患者さんにとって最善となる治療の方向性を定義する決定ツールとしてPD-L1バイオマーカーを用いる場面において、包括的な臨床試験プログラムが進行中です。さらに、当社のIOポートフォリオを当社オンコロジー全パイプラインあるいはパートナーの標的低分子化合物の中から広く併用 療法を検討していくことにより、広範な腫瘍に対する新たな治療選択肢を提供できる可能性があります。アストラゼネカにおけるオンコロジー領域についてアストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。アストラゼネカはがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。アストラゼネカについてアストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、希少疾患、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオ・医薬品において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細については http://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca( https://twitter.com/AstraZeneca )(英語のみ)をフォローしてご覧ください。References1. 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Available at https://lungevity.org/for-patients-caregivers/lung-cancer-101/types-of-lung-cancer . Accessed September 2021.8. ASCO. Cancer.net. Lung Cancer - Non-Small Cell. Available at https://www.cancer.net/cancer-types/lung-cancer/view-all . Accessed September 2021.プレスリリースは以下よりダウンロードできます。https://prtimes.jp/a/?f=c-24308-2021092811-0399fa857291fc6f0ffd7b278508ea33.pdf