「Marshallの音」というと、どんなイメージが湧くだろうか?多くの人は、ギターアンプの濃密でパワフルなサウンドが浮かぶかもしれない。なぜなら、Marshallのギターアンプは、世界中のアーティストから支持され続けてきた名機であり、長きにわたってロックサウンドに欠かせない存在であるからだ。そうして築かれてきた音楽との密接な関係を礎に、Marshallはアンプ機材だけでなく、イヤホン/ヘッドホン、Bluetoothスピーカーといったオーディオ製品も多く手がけている。これらの製品の音は、上述したようなMarshallらしいギターアンプのサウンド傾向がバランスよく取り入れられており、他にはない特徴にもなっている。このたび新登場した「Motif A.N.C.」は、同社の完全ワイヤレスイヤホン製品として初めて、アクティブノイズキャンセリング機能を搭載したモデルである。本機が聴かせてくれる「Marshallの音」は、一体どのようなものか?
Marshall「Motif A.N.C.」¥OPEN(市場想定価格:税込25,980円前後)今回、音楽レーベル『HD Impression』主宰/レコーディングエンジニアの阿部哲也氏に試聴いただいたところ、思わぬ感想が返ってきた。音楽レーベル『HD Impression』主宰/レコーディングエンジニアの阿部哲也氏にインタビューし、「Motif A.N.C.」の魅力について語っていただいた■ANC搭載完全ワイヤレス「Motif A.N.C.」の仕様インタビューに入る前に、まず製品の仕様について紹介しよう。「Motif A.N.C.」は、昨年夏に発売されたブランド初の完全ワイヤレス「Mode II」、第二弾モデル「MinorIII」に続いて登場したモデルで、最新のアクティブノイズキャンセリング機能を搭載する。最新のアクティブノイズキャンセリング機能を搭載具体的には、左右の筐体に2基ずつ内蔵したマイクが機能し、外部の不要なノイズを低減する。ノイズキャンセリングレベルを専用アプリから調整でき、自分好みの効き具合にすることも可能だ。また、周囲の音を取り込むトランスペアレンシーモードにも対応。こちらもレベルを変えられるので、外音の取り込み量を調整できる。ノイズキャンセリング、トランスペアレンシーのレベルを専用アプリから調整可能イヤホンにはφ6mmのダイナミックドライバーを搭載。オリジナルの状態の音質は「Marshallサウンド」と称する、ブランド伝統の音質に仕上げられている。イコライザー機能も備わっており、アプリから好みの音質を選ぶことができる。3つまで設定可能で(うち1つはオリジナルMarshallサウンドで固定)、楽曲に合わせて切り替えながら楽しめるのも魅力だ。本体はタッチコントロール機能を備え、曲送り/戻しなどの操作ができる。珍しいポイントとして、このタッチコントロール機能はON/OFFが可能。「誤動作を防ぎたいのでオフにして、操作はアプリから行いたい」など、利用スタイルに合わせて選べる仕組みだ。タッチコントロール機能はON/OFFが可能また、左右それぞれ長押しアクションを設定でき、ノイキャン/トランスペアレンシーのON/OFF、イコライザーの切り替え、音声アシスタントの起動など、こちらもユーザーの使い方に応じて選ぶことができる。■むやみに色付けしない、原音忠実なサウンド。「モニターとして成立できる」ここからは、音楽レーベル『HD Impression』主宰/レコーディングエンジニアの阿部哲也氏に「Motif A.N.C.」の魅力について語っていただこう。ーー 早速ですが、「Motif A.N.C.」の音質について、感想を教えてください。阿部哲也氏(以下、阿部氏): ものすごい “ナチュラル” ですね。Marshallってやっぱり、ギターアンプのイメージが強いと思うんですけれど、そのギターアンプ自体は中高域に張りがあって、特徴的な音がするアンプでもあるんですね。そのイメージが自分の中にもあって、イヤホンを試す際に、中音域がガツっとくる感じかな? と思いながら自分の作った音源を聴いてみたら、驚くほどナチュラルでびっくりしました。驚くほどナチュラルで、原音忠実なサウンドいろんな音源を聴いてみましたが、どれも自分が作った音、こういう音楽にしようとしたサウンドが、そのままストレートに再現されています。むやみに色付けをしない、原音忠実なサウンド。オーディオとしてすごく良いものだと思いました。音楽ジャンルも選ばないタイプだと思います。