東京オリンピックが開幕し、オリンピックの熱気がやまないのと同時に東京では物理的に猛暑が続いています。
猛暑を乗り切るために近年流行っているのが首掛けの携帯扇風機。顔に風を当てることで涼めるアイテムですが、新型コロナウイルスが流行する今マスク周辺に風を当てるのは衛生上よろしくありません。
そんな中、風を当てるのではなく直接肌を冷やすアイテムを見つけました。今回は猛暑の日本列島にぴったりなアイテムであるソニーのREON POCKET 2をレビューしていきます。
REON POCKET 2はソニーのウェアラブルサーモデバイス
REON(冷温) POCKET 2はソニーが開発したウェアラブルサーモデバイスです。スマートウォッチのwenaシリーズやスマートロックのQrioシリーズ同様にソニーのスタートアップ支援プロジェクトである「Sony Startup Acceleration Program」から登場したガジェットとなっています。
一般的な携帯扇風機とは違い、パソコンを冷やすのに使われるペルチェ素子を使って直接肌を冷やす仕組みです。
こちらが肌に当てるところ。腕時計などに使われるのと同じステンレスでできており、ここを首元に当てることでひんやり感が伝わるというわけです。
ペルチェ素子とは電流を流すことで片面が冷たく、片面が暖かくなるものです。そのため、暖かくなった側をファンで冷やす必要があります。
REON POCKET 2の背面下部にはファンの給気口があり、上部に暖かくなった空気を排気することで冷却効率を上げています。
REON POCKET 2本体は意外と小さくて軽いです。iPhone 12 miniよりもひと回り小さく、92gと非常に軽量です。
首にかけるには別売の専用のアタッチメントもしくは専用のインナーが必要になります。私はどんな服装でも使えるようにネックバンド型のアタッチメントを別途購入しました。
実際の装着した姿はこんな感じです。血管の多い首元を冷やすことで体全体の温度を調整できるようになっています。
ネックバンドは左右から挟み込むような圧力があり、意外とずれることも首が痛くなることもありませんでした。
本体はバッテリー駆動であり、USB Type-Cポートで充電します。2.5時間で満充電となり、冷却レベルによって1〜4時間の利用が可能となっています。
なお、本体は防塵防滴に配慮した設計となっており、多少の汗では壊れないとのこと。具体的にはランニングなど激しい発汗をするスポーツや作業はNGですが、散歩やゴルフぐらいまではOKのようです。なお、防水ではないので雨の日の利用は避けたほうが良さそうです。
また、充電しながらの利用も可能であるため、モバイルバッテリーを使えば駆動時間を延ばすことができます。付属する実測0.95mのUSB Type-A to USB Type-CケーブルはUSB Type-C端子側がL字になっており、服の中でケーブルがごちゃごちゃになることもありません。
胸ポケットにモバイルバッテリーを仕込んだ状態で使うとこんな感じになります。見た目が若干不審ですがケーブルが邪魔だとは感じませんでした。
初代REON POCKETからの進化点
初代REON POCKETから進化したところは以下の3点です。
なお、アクセサリーが共通して使えるように本体デザインは全く変わっておらず、バッテリー性能も全く同じとなっています。
炎天下で活躍できるか?
それではREON POCKET 2の実力を測るために実際にお出かけします。
というわけで太陽光を遮るもの一つない河川敷で長袖長ズボンにマスク、ヘッドフォンを着けるという極限状態で1時間ほど散歩してきました!
この日の気温は32度と控えめですが、「気温35℃以上、または炎天下での長時間のご使用はご遠慮ください」(ソニー公式より)と明言されています。また、REON POCKET 2は熱中症を防止するアイテムではありませんので良い子は真似しないようにしましょう。
早速REON POCKET 2を装着します。本体が軽量でネックバンドの圧力が絶妙なため、装着感は快適そのものです。
ちなみにですがYシャツを着るとほとんど目立たなくなります。かなりいい感じ。
基本的にREON POCKET 2はBluetoothでスマートフォンと接続して専用アプリから操作します。
専用アプリではREON POCKET 2の表面温度がモニタリングされています。もちろん表面温度は非常に高いですが、
冷却モードをオンにするとすぐさま冷え始めます。冷房の効いた部屋であれば2〜3秒、炎天下であれば10秒ほどで首元がひんやりとし始めるのがわかります。
冷却レベルは1〜4の4段階。エアコンの効いた室内ではレベル1でも十分ひんやり感があったものの、炎天下の河川敷ではレベル1では効果は薄めでした。レベル3でようやく変化が感じられ、レベル4で「おお~」となるぐらい冷たくなります。
室内ではレベル1、屋外ではレベル2〜3、特に暑いところではレベル4といった使い分けになると思いますが、とりあえずAUTOモードにするのもありです。REON POCKET 2には体温センサーだけでなく加速度センサーが搭載されており、歩いてて体温が上昇しているときは冷感レベルを上げるといったことを自動でやってくれます。
しばらくすると首元がなれてしまって冷たさが感じられなくなりますが、そんなときはWAVEモードを使えば解決します。WAVEモードは冷却の効果に波をもたせることで持続的に冷たさが感じられるというもの。これをオンにすることで首元がずっと冷たくて快適でした。
1時間散歩した感想は「劇的には変わらないけどあったらマシ」でした。
発汗量(特に首元)は明らかに少なくなった感じはしたものの、いくら冷やしても長袖長ズボンだと流石に汗が蒸れてしまい、主に下半身がベタベタしはじめて不快でした。
とはいえ、長袖長ズボンで炎天下の河川敷を散歩する馬鹿は僕ぐらいで、そんなケースはなかなかないはず。例えば、適度に日陰がある道で数分から十数分程度歩くとかであれば非常に快適に使えると思いますよ。
REON POCKET 2が活躍するシーンは
数日間REON POCKET 2を使っていて非常に良かったのがちょっとしたお出かけです。近くのコンビニにふらっと出かける、大学への通学路で最寄り駅まで歩くといったシーンで非常に活躍しました。
また、それ以上にいいと感じたのが屋内での利用です。
台所やトイレなどのエアコンがない、もしくはエアコンの風が届かない空間で家事をするときって結構汗をかくのですが、REON POCKET 2を冷却レベル1にするだけで快適に家事をこなすことができます。
オフィスワークでも大活躍です。勝手に温度が調整できないオフィスや教室で自分だけ涼んだり、WARMモードで逆に温まったりすることができます。冷え性の人とかにもおすすめできそうです。
ちなみにファンの音はPCと同じぐらいですので公共空間でも問題なく使えると思います。自宅で集中したい場合は音楽でも流せば全く気になりません。
まとめ:REON POCKET 2は体感温度をハックするデバイス
「エアコンが効いた部屋に入って涼む」が10だとしたらREON POCKET 2の冷却性能は2~3ぐらいです。しかし、REON POCKET 2の魅力はクーラーのようにガッツリ冷やせることではなくて個々人が細かに体感温度が調整できるところです。
屋内外のちょっとした温度変化に対してREON POCKET 2で適宜対応するという使い方をすれば暑い夏を快適に過ごす事ができます。自宅でエアコンの設定温度を上げてREON POCKET 2で調整すればエコにもなります。
また、夏だけでなく冬も使えるのもポイント。WARMモードを使えば冬にカイロの代わりに体を温めることもできます。そしておそらく「昼は暑いけど夜は冷え込む」ような春秋でも活躍してくれるでしょう。どんなシーンでも体温調節ができるのはペルチェ素子を使ったサーモデバイスのいいところですね。
一方で気になる点もいくつかあります。
1つ目は女性は難儀するかもしれないこと。ペルチェ素子の特性上、温まった風が首元から上部へ排気されますが、髪の長い女性は髪の中に熱い空気が滞留してしまう可能性があります。そのため、通気性を良くするために髪をまとめるといった工夫が必要だと思います。
2つ目はファッション性。通気性の確保のためにゆったりめの服を着ることが求められます。REON POCKET 2自体もホワイト一色であるため、ファッションにこだわる人にとっては辛いかもしれません。
なお、2021年の春からREON POCKETに対応した衣類がアパレルブランド各社から登場しています。今後の拡張性に注目です。
REON POCKET 2はソニーのモバイル機器設計を生かしたウェアラブルサーモデバイスです。そんなガジェットとしての魅力も多いREON POCKET 2ですが、家電量販店の店員さん曰く7月下旬に生産が終了し在庫限りの販売になっているとのことです。
定価は税込み1万4850円で、ソニーストアや全国の家電量販店、東急ハンズ、そしてAmazon.co.jpなどのECサイトで販売されています。興味のある方は是非チェックしてみてください。
また、なお、初代REON POCKETは引き続き販売されるとのこと。こちらは税込み9900円と比較的お手頃価格ですので初代REON POCKETで試してみるというのもありだと思いますよ!
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