MakeUseOf:ハードディスクドライブ(HDD)は今でも、現代のコンピューターアーキテクチャにおける主要な要素であり、数年ごとに新しいものに買い替えたり、新たに追加したりするのが普通です。
とはいえ、選択肢があまりにも多すぎて、どれが自分に最適で買うべき物なのか、よくわかりませんよね。
幸い、HDD選びはそれほど難しくありません。選択を誤る可能性も少なくはないのですが、これからお話しするガイドラインにさえ従えば、「HDD購入を失敗」してしまわないか? などと悩む必要はないのでご安心ください。
データ保存に関して何よりも先に決めなければならないのは、ソリッドステートドライブ(SSD)が必要かどうかです。SSDも従来型のHDDと同じような機能を果たしますが、特有の長所と短所を持っています。
良くご存じない方のために説明すると、データを保存するために、従来型のHDDは金属製のディスクをぐるぐると回しますが、SSDは「フラッシュメモリ」と呼ばれるものを使っています。巨大なUSBメモリのようなものだと考えてもらって構いません。
では、双方にはどんな違いがあるのでしょうか?
違いの1つ目は、SSDのほうがデータの読み込みと書き込みのスピードが速い点です。2つめは、SSDは消費電力が少なくて済むので、エネルギーが節約できてノートPCのバッテリーが長持ちする点です。3つめは、SSDには可動パーツがないので、静かな上に寿命が長い点です。
SSDの短所として挙げられるのは、HDDよりも高価で、データ容量も少ない点です。
結論としては、金額が気になるなら従来型のHDDを選びましょう。バックアップ用、もしくは外付けドライブがほしい場合もHDDを選んでください。OS用ドライブが欲しい、もしくは頻繁にアクセスするファイルやプログラムがある場合は、SSDにしましょう。
HDDを買うかSSDを買うかが決まったら、次は形状や大きさといったフォームファクターを選ぶ番です。ありがたいことに、選択肢はたったの2つ。しかも、だいたいは現在の設定状況によって最適なものが決まります。ここでは簡単に決断が下せるので安心してください。
データ用ドライブには、「3.5インチドライブ」と、「2.5インチドライブ」の2種類があります。
従来型のHDDの場合、データはぐるぐる回る金属製のディスクに保存されます。ということは、データ容量を増やしたかったらディスクを追加しなければなりません。そのため、デスクトップのHDDには最大容量4TBの3.5インチドライブが、ラップトップのHDDには最大容量2TBの2.5インチドライブが搭載されているケースが多くなっています。
一方のSSDは、可動パーツが要らないため小型化が可能です。ですから、ほとんどのSSDは2.5インチのフォームファクターに収まります。もしSSDを3.5インチ用コネクタにつながなければならない時は、アダプターを使ってください。
コネクタに関して言えば、HDDであれSSDであれ、最新のコンピュータドライブの大半にはSATA(シリアルATA)コネクタが採用されています。SATAが標準規格になる以前に製造された比較的古いHDDには、おそらくIDEコネクタが使われています。この場合、外付けドライブを買うなら、USBポートを使って接続しなければなりません。
どんなドライブを買えばいいかがわかったら、次は自分のニーズに最適なものを選んでいきましょう。検討すべき点は次の通りです。
記憶容量:HDDはさまざまな容量のものが出回っていますが、物理的制限があるので、ドライブ1つにつき4TBが最大です。一方のSSDは容量がはるかに少なく、いまだに最大容量は1TBを下回っています。それに、容量が512GBを超える一般消費者向けSSDはほとんどありません。転送速度:一般消費者向けHDDの性能は多くの要素で決まりますが、中でも重要なのはRPM(ディスクが1分間に回転する速度)です。RPM値が高ければ、ドライブとのデータのやり取りが速くなります。ドライブのSATA速度は気にしなくても構いません。たとえば、新しいドライブのデータ転送速度が「シリアルATA(3.0GB/s)、回転数(7200RPM)」だったとしましょう。3.0GB/sのスピードでデータ転送できるHDDは絶対にありませんが、7200RPMのドライブなら、5400RPMドライブよりも絶対にスピードで優ります。
キャッシュ容量:ハードディスク内でデータを転送しなければならない時は、一時的にデータを保持するために「キャッシュ」または「バッファ」と呼ばれる内蔵メモリが使われます。キャッシュ容量が大きければ、データ転送も高速になります(1度に保持できる情報量が大きくなるためです)。最新のHDDはキャッシュ容量が8~128MBです。
アクセス速度:従来型のHDDには、性能を左右する要素がほかにもいくつかあります。ドライブにあるデータの読み込みと書き込みの準備にかかる時間もその1つです。確かに、回転速度7200RPMのディスクが2つあれば、性能に差が出ることもあります。片方は読み書きの準備をするのに時間がかかるのかもしれません。けれども、アクセス速度を比較する標準的な方法はありませんし、最近は、ほとんどのHDDのパフォーマンスレベルに大差がないので、アクセス速度に関してはあまり気にしなくても良いと思います。
SSDでは、データを先頭から順番に読み書きする時のスピードを指す「シーケンシャルアクセス速度」(順次読み書き速度とも言われます)に注意しましょう。その速度はSATAコネクタの最大転送速度の範囲内であることが多いので、まず問題はないはずです。
故障率:HDDは機械なので、時間と共に消耗するのは当然です。そうは言っても、すべてのHDDが等しく作られているわけではありません。モデルによっては、6カ月も経たずに故障してしまうものもあれば、平均で6年以上も長持ちするものもあります。購入の際に、モデル別の傾向を事前に調べておいてください。全体的に見て、最新HDD(平均寿命150万時間)よりも、最新SSD(平均寿命200万時間)のほうが長持ちするようです。とはいえ、長期間通電しないままで保存するなら、SSDよりHDDのほうがはるかに頼りになります。
HDDの故障が心配ならば、データを複数のHDDに保存する「RAIDシステム」を設定してみてはどうでしょうか。これなら、ふいに不測の事態に襲われてもデータが保護されます。
以上の項目を参考にすると、一見すると似ているものの、価格に大きな差のあるHDDが選択肢として並ぶのではないでしょうか。あとは、自らのニーズに最も関連の深い項目を見極め、その項目の特徴が一番当てはまるハードドライブを選び取るのはあなた次第です。コストパフォーマンスを割り出すために、ドライブの小売価格を容量で割ってギガバイト当たりの金額を計算してみましょう。
たとえば、「WD Black 1TB HDD」(価格8563円。1GB当たり約8.36円)は、一般消費者にとってお買得のオールラウンド型ドライブです。容量が一回り大きい「WD Black 2TB HDD」(価格1万6800円。1GB当たり約8.20円)になると価格もほぼ2倍。さらに容量を増やして「WD Black 4TB HDD」(価格2万5025円。1GB当たり約6.11円)になるとかなりの高額です。痛い出費ですが、コストパフォーマンスとしては4TBがベストですね。
SSDも同じような感じです。「Crucial MX100 128GB SSD」(価格9110円。1GB当たり71.17円)なら手が出そうです。「Crucial MX100 256GB SSD」(価格1万3998円。1GB当たり54.68円)なら、容量は2倍で価格は2倍以下です。「Crucial MX100 512GB SSD」(価格2万5728円。1GB当たり50.25円)になると、財布を持つ手が震えてしまう価格ですが、一番のお買い得商品です。
おわかりのように、容量はSSDよりもHDDのほうがはるかに上回っています。とはいえ、容量の増加に伴う価格の上昇幅は似たような傾向にあります。
最後にもう1つ検討すべき点は、HDDを内蔵するのか、それとも外付けとして使うのかです。決めるのは難しくありませんが、まずはそれぞれの長所と短所を見ていきましょう。
外付けドライブは、データの保存とバックアップに最適です。最大転送速度が480MB/秒 のUSB2.0ケーブルで接続するのが一般的ですが、最新モデルなら、最大転送速度が5.0Gb/秒 のUSB3.0をサポートしているかもしれません。後者ならばいいのですが、そうでなければ、OS用ドライブなどとして使うにはスピードが遅すぎるかもしれません。
その代わり、外付けドライブには持ち運びできるという長所があり、複数のPCで簡単に共有できます。USBを抜いて別のPCに差し込むだけです。テレビやメディアセンターに接続すれば、そのまま動画などを再生することも可能です。
「持ち運びできなくてもいいからスピードがほしい」、または「作業用のデータ領域が不足している」(例えば、古い内蔵ドライブが不調で買い替えが必要)という場合は、内蔵型を使いましょう。
実は、コネクタが同じであれば、外付け型も内蔵型も違いはありません。外付け型は単に、保護用ケーシングに入っているというだけです。外付けドライブを購入しても、お望みならケーシングからドライブを取り外して内蔵することができます。
*新しいHDDを買うために必要な知識は以上です。購入後は、長持ちさせるためにも適切に扱いましょう。
5 Things You Need to Consider Before Buying a Hard Drive|MAkeUseOf
Mihir Patkar(原文/訳:遠藤康子、吉武稔夫/ガリレオ)
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